あれは18or19歳の夏、コンサートからの帰り道でのこと。
最寄り駅から自宅までは結構な距離があるので、タクシーで帰ろうと
決めていた。が、かなり遅い時間ということもあり、タクシー乗り場
は長蛇の列。待っていたら何時間かかることか。
ため息をつきつつ、仕方なく歩いて帰ることにした。

自宅までの道には、街灯が少なくできれば遅い時間には歩きたくない、
という箇所が途中いくつかある。
特に、両脇が畑という寂し〜い場所があり、先に見える住宅街までが永
遠とも思える道を嫌でも歩かなくてはならない。
そんなイヤ〜な道に差し掛かったとき、2〜3メートル先をOL風の小柄
な女性が歩いていた。
ああ、良かった!女の人が歩いている。
たったそれだけのことが、とても心強い。
と、ふいにその女性が振り向いた。
つられて私も振り返る。…誰もいない。
2、3度同じことを繰り返したかと思ったら、次の瞬間、その女性が猛
然と走り出した!
ヤバそうな奴でもいるのかと、とっさに振り返る私。
…誰もいない。
え????
事態を飲み込むのにしばらくかかった。
間違われたのだ。…チカンに!
まさに呆然。
他に誰もいない道の真ん中で、自分に指さしながら「え?、え?、えっっっ?」
と、しばらくアホのように繰り返していた。
夜道でチカンに間違われる男性のショックと怒りをとても深く理解した瞬間
だった。
良いのか悪いのかはともかく、その夜無事に家に着いたことにホッとした。
(警察に通報されなくて良かった〜)